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フィードバックの使い方、間違ってない? 運動学習と患者の意欲を高める臨床アプローチ

  

 

本日もご覧いただきありがとうございます。

 
「声かけしても動きが変わらない…」  
「なんとなく励ましてるけど、患者さんのやる気が上がらない…」

そんな悩み、ありませんか?  
 実はその“伝え方”や“関わり方”、脳科学と心理学の視点から見直すと、リハビリの成果がグンと変わるかもしれません。

  今回は、「運動学習におけるフィードバックの種類と頻度」および「整形外科患者の意欲」に関する研究から、臨床に活かせる情報をまとめてお届けします。

 

 

 

【1】フィードバックは“種類”と“タイミング”がカギ!

 運動学習においては、セラピストからの「外在的フィードバック」が重要とされています。  
 中でもよく使われるのが【視覚的フィードバック(鏡や動画)】と【聴覚的フィードバック(声かけ)】。

 ある研究では、バスケットのフリースローを使って以下のような比較が行われました

| 群 | フィードバックの種類 | 頻度 |
|----|--------------------|------|
| A | 視覚的 | 毎回(100%) |
| B | 聴覚的 | 毎回(100%) |
| C | 視覚的 | 3回に1回(33%) |
| D | 聴覚的 | 3回に1回(33%) |
| E | コントロール(なし) | - |

【結果のポイント】
- 視覚的FBは「その場での上達」に強い  
- 聴覚的FBは「長期記憶の定着」に効果的

 

 つまり  初期段階での「成功体験づくり」には視覚FBが有効  
 定着を目指す後期には聴覚FBでじっくり学習を  
 また、「毎回言いすぎる」と逆に依存が生まれ学習効率が下がる(ガイダンス仮説)

 

【2】患者の「意欲」を引き出すには?

 もう1つの研究では、整形外科手術後の患者45名を対象に、リハビリ意欲と関連する要因を調査。

【結果】
 リハビリ意欲が高い人ほど、医療者(PT・看護師・医師)の説明や励ましを肯定的に受け取っている
- 身体症状(痛みや動きにくさ)や精神状態が安定していると意欲も高くなる
- 回復期には認識のズレ(「もう動けるから大丈夫」と思ってしまう)が生まれやすい

 

【明日から使える!臨床での活かし方】

1. 初期は“視覚FB”で動作のイメージをつけさせる
 例:「鏡でフォームを見ながら一緒にやってみましょう」

2. 慣れてきたら“聴覚FB”で内的気づきを促す
 例:「今の動き、自分でどう感じましたか?」

 3. 患者の状態に合わせて声かけの“量”を調整
  フィードバックしすぎると“依存”につながる。あえて何も言わない時間も大事。

4. 医療者の関わりは「励まし+説明」で意欲アップ
  単なる励ましだけでなく、「なぜこの練習が大切なのか」を具体的に伝える。

 

【まとめ】
 運動学習と患者の意欲は、“フィードバック”と“関わり方”次第で大きく変わります。  
セラピストの「伝え方」や「タイミング」を見直すことが、患者の行動変容を引き出す第一歩になります。

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

参考文献; 『運動学習から考察するリハビリテーション臨床』(道免和久, 2019)