本日もご覧いただきありがとうございます。今回は基本動作である寝返りから起き上がり動作について解説していきます。
患者様によく見受けられるパターンでは、ベッド柵や手すりを引っ張って起き上がる、、、ということがありませんか?
基本動作を理解することで患者様のADL向上に向けた介入に少しでも役立てていただきたいです。
早速いきましょう。
―屈曲回旋パターンの運動連鎖を読み解く―
🟦 なぜ屈曲回旋パターンが重要?
起き上がり動作は、単なる“起きる”動作ではなく
重心移動・体幹コントロール・支持面の確保など、さまざまな要素が連動して起こる運動連鎖の集大成です。
とくに脳卒中や整形疾患患者では、この屈曲回旋パターンが破綻していることが多く、動作の理解がリハの第一歩になります。
🔹起き上がりの3相構造と筋活動のポイント
🧩第1相:頭頚部・肩甲帯の準備的動作
-
①頭頚部が僅かに屈曲・回旋
→ 頭頚部のコントロール(運動の先導) -
②上側の肩甲帯が前方に突出(リーチ動作)
→ 前鋸筋:肩甲帯を前方へ移動
→ 僧帽筋中部線維:肩甲帯を後方へ引いて安定させる
▶ 重心移動の「出だし」をつくるフェーズ!
🧩第2相:上部体幹の回旋と重心の移動
🧩第3相:下部体幹の回旋と支持面の形成
-
①下部体幹が回旋し、下側の肩甲帯も前方へ突出
→ 身体の下に支持基底面を確保(重要!) -
⚠️注意点:
上肢が体の下に巻き込まれると肩関節痛を誘発することもあり、
回旋の不足は疼痛や動作制限の原因に -
筋活動の特徴:
→ 下側の前鋸筋 + 上側の外腹斜筋:胸郭を回旋させる
→ 「支える」「ひねる」「前に出す」機能が連動
🧠臨床でのポイント
-
「回旋が出ていない」=起き上がりで腕ばかり使ってしまっていないか
-
寝返りの延長としてこの3相を意識するだけでも、評価・指導が変わる!
-
回旋誘導の促通手技や前鋸筋トレーニングが介入の鍵に
🟩まとめ
起き上がり動作は、「単純な上体の引き起こし」ではなく
頭頚部 → 肩甲帯 → 胸郭 → 腰椎 → 骨盤といった運動の連鎖と支持基底面の確保がポイントです。
🔍 患者が「なぜ起き上がれないのか?」を筋と動作から見直してみましょう。
本日は以上となります。お時間いただきありがとうございました。