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若手PT必見|肩関節屈曲動作で大胸筋が活動する3つの理由

【肩関節屈曲と大胸筋活動の関係】

~なぜ肩関節屈曲で大胸筋が働くのか?~

◆はじめに

 肩関節の屈曲運動において、大胸筋が活動する場面に出会ったことはありませんか?
「屈曲=三角筋・烏口腕筋」と考えていた方にとっては、少し違和感があるかもしれません。
今回は、なぜ肩関節屈曲で大胸筋が活動するのか、そのメカニズムを整理します。


◆よくあるパターン:肩関節屈曲時の代償

臨床では以下のような動きがよく見られます。

  • 肩甲帯の挙上、内転・内旋

  • 上腕骨の内旋

  • 大胸筋の筋緊張亢進

  • 前鋸筋や僧帽筋の活動低下

→ これらが「代償的な大胸筋優位の屈曲パターン」を助長している可能性があります。

 

◆ポイント①:大胸筋の付着部と機能

ヒューマン・アナトミー・アトラス 2025より 大胸筋鎖骨部・胸肋部
  • 起始:

    • 鎖骨部:鎖骨の内側1/2

    • 胸肋部:胸骨、第2~7肋軟骨前面

  • 停止: 上腕骨大結節稜

  • 作用:

    • 0~60°程度の肩関節屈曲で主に活動

    • 外転60°以上になると活動が減少し、別の筋が主動

 

◆ポイント②:肩甲帯と胸郭の連動性

  • 肩関節屈曲においては、肩甲骨の上方回旋と外転が不可欠。

  • 特に90°までの屈曲時には、肩甲骨が外転しつつ上方回旋

  • この動きが出ないと、大胸筋が代償的に働きやすくなる。

 

◆ポイント③:前鋸筋と肩甲骨の安定

  • 前鋸筋が弱くなると、肩甲骨の内転(翼状肩甲)が生じやすくなる。

  • その結果、肩甲骨が安定せず、大胸筋による代償が生まれやすい。

 

◆まとめ:大胸筋が活動しやすくなる条件とは?

  • 前鋸筋や僧帽筋の機能低下(肩甲骨の安定性が低下)

  • 上腕骨軸と肩甲骨軸の不一致

  • 胸椎伸展不足・体幹機能の低下

  • 運動学的には屈曲60°以下での大胸筋活動が自然

 

◆臨床応用ポイント

✅ 屈曲動作時に大胸筋の代償が強い場合は、以下を見直そう:

  • 前鋸筋の筋力トレーニング(例:プランク+パンチ動作)

  • 肩甲骨の上方回旋を意識したリーチ練習

  • 胸郭・胸椎の可動性チェックとモビライゼーション

  • 頭部〜体幹アライメントの調整

 

本日は以上になります。最後までご覧いただきありがとうございました。