【肩関節屈曲と大胸筋活動の関係】
~なぜ肩関節屈曲で大胸筋が働くのか?~
◆はじめに
肩関節の屈曲運動において、大胸筋が活動する場面に出会ったことはありませんか?
「屈曲=三角筋・烏口腕筋」と考えていた方にとっては、少し違和感があるかもしれません。
今回は、なぜ肩関節屈曲で大胸筋が活動するのか、そのメカニズムを整理します。
◆よくあるパターン:肩関節屈曲時の代償
臨床では以下のような動きがよく見られます。
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肩甲帯の挙上、内転・内旋
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上腕骨の内旋
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大胸筋の筋緊張亢進
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前鋸筋や僧帽筋の活動低下
→ これらが「代償的な大胸筋優位の屈曲パターン」を助長している可能性があります。
◆ポイント①:大胸筋の付着部と機能
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起始:
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鎖骨部:鎖骨の内側1/2
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胸肋部:胸骨、第2~7肋軟骨前面
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停止: 上腕骨大結節稜
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作用:
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0~60°程度の肩関節屈曲で主に活動
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外転60°以上になると活動が減少し、別の筋が主動
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◆ポイント②:肩甲帯と胸郭の連動性
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肩関節屈曲においては、肩甲骨の上方回旋と外転が不可欠。
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特に90°までの屈曲時には、肩甲骨が外転しつつ上方回旋。
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この動きが出ないと、大胸筋が代償的に働きやすくなる。
◆ポイント③:前鋸筋と肩甲骨の安定
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前鋸筋が弱くなると、肩甲骨の内転(翼状肩甲)が生じやすくなる。
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その結果、肩甲骨が安定せず、大胸筋による代償が生まれやすい。
◆まとめ:大胸筋が活動しやすくなる条件とは?
◆臨床応用ポイント
✅ 屈曲動作時に大胸筋の代償が強い場合は、以下を見直そう:
本日は以上になります。最後までご覧いただきありがとうございました。