本日もご覧いただきありがとうございます。本日のテーマは変形性股関節症の評価についてです。
皆さんもこんな場面を経験したことがありますか?
臨床場面において変形性股関節症に対する治療法立案ができない、そもそも評価の方法がわからない。
この悩みを解決するべく、pt₋noteを参考に臨床に活かしていただきたいです。
それではいきましょう。
①変形性股関節症の病態
変形性股関節症とは、寛骨臼と大腿骨頭の関節軟骨が摩耗し、軟骨および骨に変形や増殖が生じる病態のことを言います。
病期によって、骨硬化や関節裂劇の狭小化、骨棘形成や大腿骨頭の扁平化、骨嚢包形成などがみられます。
※骨嚢包とは、軟骨損傷部から関節液などが骨に侵入することで骨が溶け出し、空洞状態になったもの。病期は変形の度合いによって前期、初期、進行期、末期に分かれます。
②評価
変形性股関節症(Hip OA)のリハビリにおいて、「評価」は介入のすべての起点です。
本記事では、臨床で即活用できる11の評価カテゴリとその活用法をわかりやすく整理します。
1.問診と疼痛部位評価【第一歩は「聞く」こと】
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始動時痛・運動時痛・夜間痛の有無と性状を把握。
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Scarpa三角部の圧痛やPatrickテスト(FABER)で股関節由来の痛みか鑑別。
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他部位(腰、膝、足関節)の影響にも注意!
🔍活用Point:「“股関節”の痛みとは限らない」を頭に置いて、問診内容を整理。
② 筋力・筋萎縮評価
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MMT(徒手筋力テスト)とHHD(ハンドヘルドダイナモメーター)で筋力を定量化。
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Trendelenburg徴候やDuchenne現象は外転筋機能の指標。
🔍活用Point:歩容の崩れを視診と筋力評価のセットで捉えよう。
③ 関節可動域評価
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屈曲、伸展、外転、内転、外旋、内旋の自動・他動ROM測定。
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Thomasテストで屈曲拘縮や代償的な骨盤前傾を見抜く。
🔍活用Point:「内転拘縮」と「腰椎代償」は見落としがち。ROM制限の背景を読む。
④ 下肢長差評価【アンバランスの根源】
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Spina-malleolar distance(SMD)で骨性短縮を把握。
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評価時は股関節の内外転や骨盤傾斜に注意。
🔍活用Point:短縮=歩行非対称や疼痛原因。補高の適応も考慮。
⑤ 歩行分析
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歩幅、歩隔、最大歩行速度、TUGなどを活用。
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動画解析も有効(Trendelenburg・Duchenne現象の可視化)。
🔍活用Point:「墜落性跛行」が出ていれば、かなり進行しているサイン。
⑥ 画像評価【Sharp角とCE角は押さえたい】
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単純X線で寛骨臼形成不全(Sharp角≧45°)、関節被覆率(CE角20~30°)を確認。
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CT・MRIで前捻角、骨髄浮腫、外転筋萎縮の評価も可。
🔍活用Point:進行期の画像所見と臨床症状が一致していないこともある。
⑦ 疾患特異的評価スケール【JOA hipスコア】
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日本ではJOA hip score(100点満点)が標準:
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疼痛30点
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可動域20点
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歩行能力20点
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ADL30点
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🔍活用Point:「評価スケールも、再評価で活きる」。
⑧ 患者記入式スケール【生活の質を患者視点で】
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JHEQ(日本整形外科学会)
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WOMAC / Oxford Hip Score(海外標準)
🔍活用Point:患者主観と他覚所見のズレを埋める材料に。
⑨ QOL評価
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SF-36、EuroQoL(EQ-5D)など、全体の生活の質を見る指標。
🔍活用Point:社会参加をゴールにすると、QOL指標は不可欠。
⑩ ADL評価【動ける=QOLの鍵】
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FIM / Barthel Index / 老研式ADLなど。
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家事やIADLの視点を入れるならInstrumental ADLも重要。
🔍活用Point:「自立の質」に目を向けた指標を選ぶ。
⑪ 認知・高齢者機能評価【特に術前後は要注意】
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MMSE / 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
🔍活用Point:術後リハや装具使用に認知が影響することも。
おわりに|評価が変われば、介入が変わる。
「何を使って評価するか」は、「どう介入するか」と同じくらい重要です。
評価は点ではなく線。再評価→仮説の再構築→介入修正の流れを常に意識しましょう。
本日も最後までご覧いただきありがとうございました。少しでも明日からの臨床に活かせれば幸いです。
参考文献
「変形性股関節症のリハビリテーションに必須の評価法と活用法」(高窪祐弥ほか, 2017)