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本日のテーマは「胸部レントゲンについて」です。
🩺 理学療法士が胸部レントゲンを理解する目的
1. 病態の把握:肺や心臓の状態を視覚的に確認し、呼吸・循環機能の予測が可能。
2. リスク管理:気胸や胸水などの禁忌・注意事項の確認。
3. 介入選択の根拠:排痰手技や体位ドレナージ、運動療法の判断材料に。
4. チーム医療への貢献:医師や看護師との共通言語として画像所見の理解が役立つ。
🔍 読影の基本(ABCDEFアプローチ)
胸部レントゲンを系統的に見る際の簡易的なチェック法として「ABCDEF」があります。
A: Airway(気道)気管が正中にあるか?
気管偏位 → 無気肺や胸水などの可能性
B: Bone(骨):肋骨、鎖骨、脊椎の骨折
胸郭運動や呼吸痛への影響
C: Cardiac(心臓) :心陰影のサイズ・形状
心拡大 → 心不全の評価
D: Diaphragm(横隔膜) :位置、形、左右差
右上がりは正常、左上がりは病変の疑い
E: Effusion(胸水) :肺底の濁りや鈍化
胸水 → 体位ドレナージの禁忌や工夫が必要
F: Fields(肺野) :浸潤影、透過性、結節など
肺炎・無気肺・気胸・COPD などの確認
💡 理学療法士が注目すべき所見と対応例
肺野の白い影(浸潤影) :肺炎 |
呼吸理学療法(排痰)、体位管理
肺野の黒化(過膨張) :COPD
呼吸訓練、運動療法、呼吸筋トレーニング
肺の一部が白くつぶれている :無気肺
体位ドレナージ、咳嗽誘発
気管偏位 :無気肺 or 胸水
原因特定と体位調整
胸水貯留(肺底の鈍化) :心不全・炎症性胸膜炎体位変換に注意、深呼吸訓練
心拡大 :心不全
運動負荷を慎重に設定
肋骨骨折 :外傷
呼吸時痛による換気制限に注意
🧪 例:症例での活用(COPD患者)
レントゲン所見:過膨張(flatteneddiaphragm)肺透過性亢進、心陰影の狭小化
PT介入:
呼吸筋トレーニング(腹式呼吸、口すぼめ呼吸)
四肢運動による換気補助
エネルギー保存指導
姿勢調整(オーバーテーブルを用いた前屈位など)
⚠️ 理学療法実施の注意点(画像所見に基づく)
気胸:強制的な呼吸訓練や高圧のPEP療法は禁忌
大量胸水:特定体位(患側下位)でのドレナージは注意が必要
心拡大;過度な有酸素負荷や水分制限に注意
肋骨骨折:呼吸時痛 → 介入時の疼痛コントロールが必要
📚 おすすめ参考書
『呼吸理学療法マニュアル』シリーズ
『胸部X線写真を読む』(医学書院)
ATS/ERSガイドライン(英語):呼吸理学療法の国際標準
✅ まとめ
理学療法士として胸部レントゲンを読む力は、安全かつ効果的な介入の判断基盤になります。読影医ではないため診断を下すことはできませんが、「異常の有無を見抜く力」「病態をイメージする力」はPTの臨床推論に直結します。
本日の内容はここまでとなります。
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