【脊柱起立筋と体幹深層筋の臨床的役割】
~回旋・伸展・安定性をどう評価し、治療へつなげるか~
🔍はじめに
脊柱や骨盤の動的安定性を支える「体幹深部筋群」は、リハビリテーションにおいてしばしば見逃されがちな要素です。
本記事では、脊柱起立筋群や腹筋群を中心に、「体幹の動きと安定性」における筋の機能を整理し、回旋や側屈、Hip hikingなどに着目した評価・介入ポイントを解説します。
体幹伸展・回旋に関わる主要筋群
◾️脊柱起立筋群(最長筋・腸肋筋)
👉 体幹の伸展+側屈 or 回旋に関して、評価場面では左右差の収縮バランスを観察することが重要。
体幹回旋に関わる筋群
-
外腹斜筋:対側回旋に働く
-
内腹斜筋:同側回旋に働く
内外腹斜筋は協調的に作用して体幹の捻りを作り出すため、回旋運動の際にはどちらかの筋に過剰な収縮がないか評価することがポイントです。
腰方形筋の作用と臨床的意義
👉 片麻痺患者や骨盤非対称のある方で、腰方形筋の一側性過活動が観察されるケースでは、歩行時の代償的なHip Hiking動作につながることも。
評価とともに腸腰筋などの前面筋とのバランスも見ることが重要です。
腹部深層筋と体幹の安定性
以下のように、多裂筋・横腹筋・腹横筋・腹直筋などが層をなして体幹を囲む構造となっており、これらは腰椎や骨盤、股関節との連動を通して、姿勢の安定性を支えています。
→特に以下の筋群が重要:
-
腹横筋(Transversus Abdominis):腹圧上昇、インナーユニットの中核
-
多裂筋:脊椎間の安定化
-
腹直筋・腹斜筋群:表層の動きに加え、腹直筋鞘を介した支持力に貢献
臨床応用:骨盤の安定化における筋連鎖
-
体幹-骨盤-下肢間の連動性を強調
-
深層筋による支持性を基盤に、外在筋が動きを誘導する
-
例:起立筋+腹横筋+股関節外旋筋群で骨盤の前傾保持
👉「股関節・骨盤帯の不安定性」→「体幹筋の持続的収縮で代償」→「腰痛や代償歩行」につながる可能性あり
➡️ 筋の層構造と左右のバランス評価を通して、適切な段階的トレーニングに落とし込みましょう。
まとめ
-
脊柱起立筋は「伸展・回旋の補助」としてだけでなく、深部安定筋とともに姿勢の保持・動作の質の確保に寄与している。
-
腰方形筋や腹筋群の左右差を観察することで、Hip Hikingや代償的体幹回旋の背景が見えてくる。
-
骨盤帯の安定には、深層筋の再教育+股関節・脊柱のアライメントへの介入が重要。
本日の内容はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました。