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心エコーレポートを手にしたとき、「どの数値を見ればいいの?」と迷ったことはありませんか?
LVEFやE/Aといった指標は、心機能の評価において非常に重要な情報を与えてくれます。
この記事では、臨床でよく使われる13の主要な心エコー指標を、【心臓の強さ・硬さ・大きさ・厚さ・重さ】という5つの視点から整理しました。
心不全や離床時のリスク管理に自信を持つために、エコー所見を“意味のある情報”として読み取れる力を身につけましょう。
【心臓の「強さ」を見る指標】
● LVEF(左室駆出率, [%])
左室がどれだけ血液を駆出できているかを示す割合で、正常値は55〜75%程度。
LVEFが40%以下では心不全(HFrEF)のリスクが高く、離床時の血圧低下に注意。
● %FS(左室内径短縮率, [%])
拡張期と収縮期の内径の差を基にした収縮力の指標で、正常値はおおよそ30〜50%。
低値の場合、LVEFと同様に左室のポンプ機能低下を示唆する。
● TAPSE(三尖弁輪部収縮期移動距離, [mm])
右室収縮能の簡便な評価指標で、正常は17mm以上。
TAPSEが17mm未満であれば右心不全や肺高血圧の可能性を考慮し、呼吸や循環の不安定に注意する。
【心臓の「硬さ」を見る指標】
● E/A比(心室拡張早期波/心房収縮波)
拡張期における左室への血流のパターンを評価。
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正常:E/A 1
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E/A < 1:拡張障害(硬い心筋)
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E/A > 2:制限型拡張障害(高度なうっ血)
● E/é比(僧帽弁E波/弁輪é波)
左室充満圧の推定指標。正常値は8未満〜12までとされる。
E/é ≧ 15では左房圧上昇やうっ血の可能性が高く、離床・運動負荷でのリスクに注意。
【心臓の「長さ(サイズ)」を見る指標】
● LAD(左房径, [mm])
正常:20〜40mm未満。
LADが45以上に拡大している場合は慢性的な左房圧負荷や心房細動のリスクが考えられる。
● LVDd(左室拡張末期径, [mm])
左室が最も拡張した時の内径。正常値:39〜55mm、男性50〜57mm程度、女性45〜53mm程度。
拡張が強いと左室肥大、拡張型心筋症の可能性。
● LVDs(左室収縮末期径, [mm])
収縮期に最も小さくなった時の左室内径。正常値:20〜40mm.LVDdとの比較でFSが算出される。
心筋収縮力が弱い場合、この径があまり小さくならならず10mm以下で異常値で 心臓の収縮力が著しく低下している可能性を示唆。
【心臓の「厚さ」を見る指標】
● IVSth(心室中隔壁厚, [mm])
● LVPWth(左室後壁厚, [mm])
両者とも正常でそれぞれ7〜11mm程度。
12mm以上になると心筋肥大が疑われ、高血圧や大動脈弁狭窄の既往がないかを確認。
● RWT(相対的壁厚:Relative Wall Thickness)
正常値:0.42以下。
高い場合は同心性肥大、低い場合は偏心性肥大を示す。
【心臓の「重さ」を見る指標】
● LVmass(左室心筋重量, [g])
● LVMI(左室心筋重量係数, [g/m²])
心筋肥大の程度を示す。LVMIの正常値:男性 ≦ 115〜134g/m²、女性 ≦95〜110g/m²。
この値が高いと左室肥大と診断され、心血管イベントリスク増加に注意。
✔指標の活用場面
| 評価項目 | 主な使用目的 | リスク管理上の注意 |
|---|---|---|
| LVEF・%FS | 左室収縮能の評価 | 40%未満では離床慎重に |
| TAPSE | 右室機能の評価 | 呼吸状態不安定の判断に |
| E/A・E/é | 拡張能と充満圧 | うっ血・肺水腫のリスク |
| LAD・LVDd | 心腔のサイズ評価 | 慢性心負荷の指標 |
| IVSth・LVPWth・RWT | 心肥大の判定 | 高血圧歴の確認と管理 |
| LVmass・LVMI | 心筋の重さ | 動脈硬化や心肥大と関連 |
本日はここまでとなります。最後までご覧いただきありがとうございました。
参考ガイドライン・資料
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『心エコーポケットノート』(大木 崇、2015)
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『全部見える循環器疾患』(黒澤博身、2013)