2025-01-01から1年間の記事一覧
本日もご覧いただきありがとうございます。本日のテーマは腰痛の中でもみらえる仙腸関節(SI関節)障害についてです。 腰痛や骨盤周囲痛を訴える患者さんのなかで、仙腸関節が原因となる割合は15〜25%とも言われています(Cohen 2005, Vanelderen 2010)。 …
椎間板性腰痛は、若手療法士が臨床で遭遇することの多い代表的な腰痛の一つです。 特に長時間の座位や前屈動作で悪化しやすく、椎間板への屈曲ストレスが疼痛の主要因となります。椎間板障害では「屈曲で疼痛が増悪し、伸展で軽減する」という特徴的なパター…
本日もご覧いただきありがとうございます。本日のテーマは腰椎椎間関節障害についてです。 腰痛は臨床で最も多く出会う症状のひとつです。その原因の一つとして「腰椎椎間関節障害」があります。特にスポーツ活動や日常生活での腰椎伸展・回旋動作により椎間…
心不全患者の運動療法はかつて「安静第一」とされることが多かった時代もありました。しかし現在は「安定期だからこそ安全に、そして効果的に行うべき」ものへと大きく変化しています。 2025年3月に改訂された心不全診療ガイドラインでは、最新の知見を踏ま…
心疾患のある患者さんを離床させるとき、あなたはどんな情報を頼りにしていますか?血圧やSpO₂の安定だけでなく、「心エコー」のレポートには、リスク管理に欠かせないたくさんのヒントが詰まっています。 この記事では、臨床で見逃せない5つの心エコー所見…
腰痛は理学療法の現場で最も頻繁に出会う症状の一つであり、患者の多くは慢性的な痛みに悩まされています。 本記事では、腰痛を4分類で整理し、椎間板の構造や荷重分担、そして疼痛メカニズムの概要を明確に解説していきます。 1. 非特異的腰痛の4つの分類 …
臨床現場で日々出会う“痛み”というサイン。「痛みがあるから治療する」のではなく、「痛みがどこから・なぜ出ているのか?」を深く掘り下げることで、より本質的な評価と介入が可能になります。 本記事では、痛みを読み解くための3つの視点を解説します。 1.…
はじめに 今回の内容は、セラピストとして知っておくべきショックの評価と対応についてです。 ショックとは、血液の循環が不十分となり酸素供給が足りない状態が続くことで、細胞の酸素代謝が障害される病態です。 これが進行すると、臓器不全や多臓器不全を…
脳室シャントは水頭症と呼ばれる脳内の髄液(脳脊髄液)の異常貯留を改善するために行われる代表的な治療法です。 高齢者の正常圧水頭症や外傷後の水頭症などでシャント術が施行された患者さんを担当する療法士も多いでしょう。 この記事では、シャントの基…
本日もご覧いただきありがとうございます。 心エコーレポートを手にしたとき、「どの数値を見ればいいの?」と迷ったことはありませんか?LVEFやE/Aといった指標は、心機能の評価において非常に重要な情報を与えてくれます。 この記事では、臨床でよく使われ…
はじめに|肩の治療で“肩甲骨”をどう扱っていますか? 肩関節の患者さんを担当するなかで、「可動域や筋力は回復しているのに、なんとなく違和感が残る」そんなケースに出会ったことはありませんか? 私自身、臨床経験を重ねるほどに実感しているのが、肩甲…
はじめに 「肩がうまく挙がらない」「肩の痛みがなかなか引かない」 実は、肩関節障害の多くに肩甲骨の不安定性=肩甲骨運動障害(scapular dyskinesis)が関与しています。 1. 肩甲骨の解剖学と安定性の役割 肩甲骨は、肩甲上腕関節の動きを支える“動的な安…
【体幹機能と麻痺側の姿勢制御】 ~片麻痺患者における体幹の「非対称性」とその評価・介入~ ◆はじめに 片麻痺患者の立ち上がりや座位姿勢を観察すると、体幹の非対称性がしばしばみられます。特に、麻痺側の体幹伸展機能の低下は、起立動作やバランス保持…
はじめに 臨床でよく見かける「ドスン座り(着座時に制御なく尻もちをつくように座る動作)」の原因は、単なる筋力低下だけではありません。 実際には、骨盤の運動制御と床反力の方向とのミスマッチが根本にあることが少なくありません。本記事では、骨盤の…
本日もご覧いただきありがとうございます。本日のテーマは歩行における速度について考えていきます。 歩きの速さは、単なる歩行能力だけでなく、歩行速度が低下するほど転倒リスクが高まるとされています。 さらに、神経疾患患者や高齢者でも、歩くペースの…
【股関節内転筋・外転筋の力学的理解】 ~杖の使い方で筋負荷が変わる?歩行中の力学を可視化する~ はじめに 股関節の力学的理解は、歩行や起立時の筋活動を予測し、リハビリテーションの介入方針を考える上で非常に重要です。 今回は「Pauwelsの理論」に基…
【脊柱起立筋と体幹深層筋の臨床的役割】 ~回旋・伸展・安定性をどう評価し、治療へつなげるか~ はじめに 脊柱や骨盤の動的安定性を支える「体幹深部筋群」は、リハビリテーションにおいてしばしば見逃されがちな要素です。 本記事では、脊柱起立筋群や腹…
本日もご覧いただきありがとうございました。本日のテーマは関節可動域制限のメカニズムと臨床における介入戦略についてです。 1.膝関節における屈曲制限の構造的要因と治療戦略 膝関節の可動域制限(特に屈曲制限)は、支持組織の線維化・癒着、関節内滑走…
本日もご覧いただきありがとうございました。本日のテーマは歩行観察についてです。 歩行は、ヒトが最も日常的に行う運動の一つでありながら、高度な神経・筋・力学制御が統合された極めて精緻な運動です。特に、歩行周期の中で各筋がどのタイミングで、どの…
本日もご覧いただきありがとうございます。本日のテーマは、頚部骨折と転子部骨折についてです・ X線による基本分類(Garden分類など) AO/OTA分類の細分類(2018改訂) CTを用いた不安定性評価(一次骨折線分類)の順で、分類と治療戦略を統合的に整理して…
本日もご覧いただきありがとうございます。 本日のテーマは「胸部レントゲンについて」です。 理学療法士が胸部レントゲンを理解する目的 1. 病態の把握:肺や心臓の状態を視覚的に確認し、呼吸・循環機能の予測が可能。 2. リスク管理:気胸や胸水などの禁…
本日もご覧いただきありがとうございます。本日のテーマは基本動作シリーズ「起き上がり動作」についてです。 「起き上がり」は、日常の基本動作ですが、その背景には複雑な運動戦略があります。 同じ“起き上がり”でも、年齢や身体機能によって動き方はさま…
本日もご覧いただきありがとうございます。本日のテーマは膝関節への進入法についてです。 膝の術後リハビリを担当する中で、「この方の可動域制限や筋力低下は、術式と関係があるのでは」と感じることはありませんか?特に進入法の違いは、術後の回復過程に…
本日もご覧いただきありがとうございます。本日のテーマは反張膝に対する介入戦略についてです。 1. 反張膝とは? 反張膝(knee hyperextension)は、立脚中期~後期に膝関節が生理的伸展範囲を超えて過伸展する現象であり、歩行効率・安定性の低下のみなら…
本日もご覧いただきありがとうございます。本日のテーマは関節モビライゼーションに関する記事です。 1. はじめに 関節運動における疼痛の原因として、関節包内運動の制限や不安定性が挙げられる。 これらの問題に対する治療法として、関節モビライゼーショ…
本日もご覧いただきありがとうございます。本日のテーマは膝関節症について。 変形性膝関節症(knee osteoarthritis, 以下膝OA)は、高齢者に多く見られる疾患であり、膝関節の変形や痛み、機能障害を引き起こします。その進行や治療効果の評価には、静的なX…
はじめに:歩行とは何か? 歩行とは、二足で体を支持しつつ重心を前方に移動させる極めて高度な運動です。私たちが日常的に何気なく行う歩行は、関節、筋、感覚、脳、脊髄といった多層的な構造の協調により成立しており、リハビリテーションにおいて中心的な…
本日もご覧いただきありがとうございます。以前に続き変形性股関節症に対する運動療法についてまとめていきます。 股OAのリハでは「疼痛軽減・機能改善・QOL向上」の3点を軸にした運動療法が重要であり、エビデンスと臨床応用をセットで押さえておきましょう…
本日もご覧いただきありがとうございます。本日のテーマは変形性股関節症の評価についてです。 皆さんもこんな場面を経験したことがありますか? 臨床場面において変形性股関節症に対する治療法立案ができない、そもそも評価の方法がわからない。 この悩みを…
【臨床でよくみる】被殻出血とリハビリテーションの視点 本日もご覧いただきありがとうございます。今回のテーマは被殻(putamen)についてです。 臨床現場でもよく遭遇する被殻出血を中心に、評価やリハビリのポイントをお伝えしていきます。 1. 被殻とは?…